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Column ・ 宇宙のはなし

宇宙で「ごはん」、どうしてる?
──チューブ食からラーメンまで。宇宙食のひみつ

宇宙飛行士だって、毎日おなかがすく。まずかった時代から「宇宙のレストラン」まで、宇宙の食卓のはなしをやさしく。

宇宙のはなし2026.07.13読了 約5分
📖 読み方を選べます。お子さまには こども版(ふりがな) がおすすめです。

宇宙飛行士も、私たちと同じように1日3回ごはんを食べます。でも宇宙では、食べものがふわふわ浮いてしまうし、冷蔵庫も台所も自由には使えません。そこで生まれたのが「宇宙食」。じつはこの宇宙食、“まずい”と言われた時代から、いまやラーメンもカレーも食べられるまでに大進化しているんです。宇宙の食卓を、のぞいてみましょう。

国際宇宙ステーションの窓辺に浮かぶりんご
国際宇宙ステーションの窓辺に、ふわりと浮かぶりんご。宇宙では食べものも浮いてしまいます。画像:NASA
宇宙食の進化 チューブ食 歯みがき粉のような容器 フリーズドライ お湯を入れて元どおり 約300種類のメニュー ラーメンもカレーも 1960年代1970年代〜いま(ISS)
宇宙食のざっくり年表。チューブから始まり、いまでは約300種類のメニューが宇宙に並びます。図:ローデン作成

はじまりは「チューブのごはん」

世界で初めて宇宙でごはんを食べたのは、1961年に人類初の宇宙飛行をしたソ連のガガーリン飛行士メニューは、歯みがき粉のようなチューブに入ったペースト状の肉とチョコレートソースでした。当時は「無重力で人間はちゃんと食べものを飲みこめるのか?」さえ分かっていなかったので、これは大事な実験でもあったのです。

その後のアメリカでも、初期の宇宙食はチューブ食や一口サイズの固形キューブばかり。栄養は満点でも、見た目も味もそっけなくて、宇宙飛行士たちにはすこぶる不評だったと伝えられています。「宇宙でいちばんつらいのは食事」と言われた時代でした。

豆知識①

ガガーリンは「地球は青かった」の言葉で有名なあの飛行士。人類で初めて宇宙から地球をながめた人は、人類で初めて宇宙でお昼ごはんを食べた人でもあったわけです。

宇宙食の3つの条件

宇宙食には、ふつうの食べものにはない厳しい条件があります。ポイントは大きく3つ。①ロケットで運ぶので軽くてかさばらないこと。②冷蔵庫にたよらず常温で1年以上保存できること。そして③が宇宙ならでは、食べかすや汁が飛び散らないことです。

無重力では、パンくずひとつでもふわふわとただよい続け、精密機械のすき間に入りこんだり、宇宙飛行士が吸いこんでしまったりと大問題に。だからISS(国際宇宙ステーション)では、くずの出るパンのかわりにくずが出にくいトルティーヤが定番です。塩やこしょうも、粒のままでは舞ってしまうので液体タイプを使っています。

豆知識②

宇宙では炭酸飲料はNG無重力では炭酸の泡が飲みものから分かれて上に抜けてくれないため、おなかの中で暴れてしまうのです。コーラで乾杯は、いまのところ地球だけの楽しみです。

いまのISSは、まるで「宇宙のレストラン」

いまISSで食べられるメニューは、なんと約300種類お湯を注いで戻すフリーズドライ食品や、温めるだけのレトルト食品が中心で、味も地上のものとほとんど変わりません。日本にもJAXAが認証する「宇宙日本食」があり、ラーメン、カレー、赤飯、ようかんなど、和の味がずらりと宇宙に持ちこまれています。

なかでも心あたたまるのが、福井県の高校生たちの話。水産高校の生徒たちが実習でつくり続けてきたサバの缶詰が、長年の改良のすえに宇宙日本食に認証され、本当にISSで宇宙飛行士の食卓に上ったのです。高校の実習室から宇宙へ——宇宙食は、もう特別な研究所だけのものではありません。

豆知識③

無重力では体液が上半身に集まり、鼻がつまったような状態になるため、味をうすく感じやすいと言われます。だから宇宙では、ぴりっと味のはっきりしたカレーやキムチ味が大人気なのだとか。

未来のごはんは、宇宙で「育てる」

これから人類が月や火星で長く暮らすようになると、すべての食料を地球から運ぶわけにはいきません。そこで進んでいるのが「宇宙で食べものをつくる」研究です。ISSではすでに専用の栽培装置でレタスを育てて食べる実験に成功。月面での農場づくりや、培養肉、3Dプリンタでつくる食事の研究も、世界中で進められています。

おもしろいのは、こうした技術が地球の役にも立つこと。少ない水と土地で食料をつくる宇宙の知恵は、災害時の保存食や、将来の食料問題の解決にもつながると期待されています。宇宙の食卓は、未来の地球の食卓でもあるのです。

RODEN & SPACE

宇宙を、“遠い話”で終わらせない。

ローデンは、宇宙ミュージアム「ソラミル」の運営や、スペースポート高知への参画、そして宇宙食の開発や「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。

このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからもやさしくお届けしていきます。