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Column ・ 宇宙のはなし

いま、宇宙にも「人が住む家」がある。
──国際宇宙ステーション(ISS)のはなし

今この瞬間も、地上400kmの宇宙で暮らしている人がいます。時速2万8千kmで地球を回る“宇宙の家”を、宇宙にくわしくない人にもやさしく。

宇宙のはなし2026.07.13読了 約6分
📖 読み方を選べます。お子さまには こども版(ふりがな) がおすすめです。

夜空を見上げても、ふつうは気づきません。でも今この瞬間も、あなたの頭の上・約400kmの宇宙で、数人の宇宙飛行士が生活しています。ごはんを食べ、眠り、仕事をして——。その“宇宙の家”が「国際宇宙ステーション(ISS)」です。人類はもう25年以上、宇宙で暮らしつづけているのです。

青くかがやく地球のすぐ上を、大きな太陽電池パネルを広げて回りつづける国際宇宙ステーション(ISS)。点線は地球を回る道すじのイメージです。図:ローデン作成(イメージ)

ISSって、どんなもの?

ISSは、地上から約400km上空を回る、人が住める巨大な宇宙の施設です。大きさはサッカー場ほど(約108m×73m)、重さはおよそ420トン。これだけの建造物が、時速約2万8千km——じつに1秒で約7.7kmという猛スピードで地球を回っています。

あまりに速いので、ISSは約90分で地球を1周してしまいます。つまり地上のわたしたちが1日を過ごすあいだに、ISSは地球を約16周。宇宙飛行士は、1日に朝と夜を16回ずつ迎えることになります。

豆知識①

ISSでは、約45分ごとに日の出と日の入りがやってきます。1日で16回の朝日を見られる計算。だから宇宙飛行士は、まぶしさを避けてカーテンを閉め、時計を頼りに「地球の時間」で生活しています。

だれが作った? 世界みんなの基地

ISSは、ひとつの国のものではありません。アメリカ、ロシア、日本、ヨーロッパ、カナダなど、世界の国々が力を合わせて、2000年ごろから宇宙で組み立ててきた国際協力の象徴です。部品をロケットで少しずつ運び上げ、宇宙飛行士が船外活動でつなぎ合わせて作りました。

その中で日本が担当しているのが、実験棟「きぼう(Kibo)」。ISS最大級の実験室で、日本の宇宙開発を進めるJAXAが運用しています。宇宙という特別な環境を活かして、薬や新素材、植物の研究などがここで行われてきました。

豆知識②

ISSでは「トイレの水」も無駄にできません。宇宙では水がとても貴重なので、飛行士の汗や尿までもきれいに再生して、ふたたび飲み水にしています。再生率はなんと9割以上。宇宙の暮らしは、究極のリサイクルなのです。

無重力での暮らしって、どんな感じ?

ISSの中は「無重力(正しくは微小重力)」の世界。体もモノもふわふわ浮かびます。楽しそうですが、暮らすとなると工夫がいります。

  • ねむる浮いていってしまわないよう、壁に固定した寝袋にもぐって眠ります。ベッドは縦でも横でも関係なし。
  • 食べる食器はマジックテープで固定。食べ物や水玉が飛ばないよう、パック入りの宇宙食を使います。
  • 体をきたえる無重力だと筋肉や骨が弱るため、専用マシンで毎日約2時間の運動が欠かせません。
  • トイレ水で流せないので、掃除機のように空気で吸い込む特別なトイレを使います。
ISSの中では、人も道具も水玉もふわふわ。だから道具は壁にとめ、体は寝袋に固定して眠ります。図:ローデン作成(イメージ)

なぜ、わざわざ宇宙で暮らすの?

いちばんの理由は「無重力でしかできない実験」があるからです。重力があると混ざってしまう物質も、宇宙ではきれいに分かれます。この環境を使って、新しい薬の材料や、より高性能な結晶・素材の研究が進められてきました。

さらにISSは、人が長く宇宙で暮らすと体がどう変わるかを調べる、いわば「実験と訓練の場」でもあります。ここで得た知識は、これからの月面基地や、いつかの火星旅行へとつながっていきます。ISSは、人類が宇宙で生きていくための“はじめの一歩”なのです。

豆知識③

宇宙では味覚が鈍り、濃い味や辛い味が好まれるといわれます。いまや宇宙食のメニューは数百種類。ラーメンやカレー、おにぎりまで、日本の味も宇宙に届いています。食は、宇宙でも大切な楽しみのひとつです。

夜空で、本物のISSを見つけよう

じつはISSは、特別な道具がなくても肉眼で見られます太陽の光を反射して、明るい星のような光がスーッと空を横切っていく——それがISSです。点滅せず、飛行機よりなめらかに動くのが目印。数分で見えなくなります。

JAXAの「きぼうを見よう」というサイトでは、自分の住む地域でISSがいつ・どの方角に見えるかを調べられます。晴れた日に時間と方角を合わせて空を見上げれば、あの光の中に人が乗っていると思うと、ちょっと不思議な気持ちになりますよ。

RODEN & SPACE

宇宙を、“遠い話”で終わらせない。

ローデンは、宇宙ミュージアムの運営や宇宙食の開発、「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。

このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからもやさしくお届けしていきます。