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Column ・ 宇宙のはなし

となりの「赤い星」へ。
──火星探査と、人類が火星をめざすわけ

夜空にひときわ赤く光る星、火星。なぜ赤いのか、水はあるのか、人はいつ行けるのか。月の「その先」の物語を、宇宙にくわしくない人にもやさしく。

宇宙のはなし2026.07.22読了 約5分
📖 読み方を選べます。お子さまには こども版(ふりがな) がおすすめです。

夜空を見上げると、赤っぽく光る星がひとつ。それが火星です。月への挑戦「アルテミス計画」の、その先の目的地としてニュースでもよく登場します。寒くて空気もうすい星ですが、太陽系の中では地球にいちばん似ているとも言われます。なぜ人類は火星をめざすのか。順番に見ていきましょう。

探査機バイキングの画像から作られた火星の全球写真
約1,000枚のバイキング探査機の画像から作られた火星の全体像。上の白い部分は北極の氷、中央下の裂け目は長さ約4,000kmの「マリネリス峡谷」。画像:NASA/JPL/USGS

火星って、どんな星?

火星は、地球のひとつ外側を回る惑星です。大きさは地球の約半分1日の長さは24時間37分と地球にそっくりで、季節の変化もあります。いっぽう太陽から遠いぶん1年は約687日(地球のほぼ2年)、平均気温は約マイナス60℃ととても寒く、空気は地球の100分の1以下しかありません。

赤く見えるのは、地面をおおう砂や岩に酸化鉄つまり「鉄のさび」がふくまれているためです。火星は、星ごと赤くさびているわけです。

豆知識①

火星には太陽系でいちばん高い山があります。その名はオリンポス山高さは約25kmで、エベレスト(約8.8km)のおよそ3倍すそ野の広さは日本列島がすっぽり入るほどです。

探査車が見つけた「水のあと」

人類はまだ火星に降り立っていませんが、代わりに探査機やロボットがたくさん送りこまれてきました。1965年に探査機マリナー4号がはじめて火星の素顔を撮影し、1976年にはバイキング1号が着陸に成功。1997年からは車輪で走る探査車(ローバー)の時代が始まりました。

  • 1965年
    マリナー4号
    はじめて火星のそばを通過し、クレーターだらけの素顔を撮影。
  • 1976年
    バイキング1号
    はじめて火星への着陸に成功。赤い大地の写真を地球へ送りました。
  • 1997年〜
    ローバー時代
    ソジャーナを皮切りに、スピリット、オポチュニティ、キュリオシティなどの探査車が地表を走り回って調査。
  • 2021年
    パーサヴィアランス
    最新鋭の探査車が着陸。相棒の小型ヘリコプター「インジェニュイティ」は、地球以外の星で史上初の動力飛行に成功しました。

そして探査の最大の成果が、「火星にはかつて、大量の水があった」という発見です。干上がった川や湖の跡、水がないとできない鉱物が次々に見つかりました。いまも極地方には氷があり、地下にも氷がねむっていると考えられています。水があったのなら、生命がいたかもしれない探査車たちは今日も、その手がかりを探しています。

火星で撮影された探査車パーサヴィアランスと小型ヘリコプター・インジェニュイティの自撮り
探査車パーサヴィアランスと、相棒の小型ヘリコプター「インジェニュイティ」(左奥)。2021年、火星で撮影された本物の“自撮り”です。画像:NASA/JPL-Caltech/MSSS
豆知識②

火星の夕焼けは青いって知っていましたか? 空にまう細かい砂の粒が赤い光を散らし、青い光だけがまっすぐ届くため、夕日のまわりだけ青く見えるのです。地球とあべこべですね。

探査車スピリットが撮影した、青みがかった火星の夕暮れ
探査車スピリットがとらえた、火星の夕暮れ。沈む夕日のまわりが、ほんのり青く光っています。画像:NASA/JPL/Texas A&M/Cornell

片道半年、火星までの道のり

火星は地球のおとなりとはいえ、近づいたときでも約5,500万km月(約38万km)の100倍以上も遠い場所です。地球と火星は約2年2か月ごとに接近するので、そのタイミングをねらって出発しても、片道6〜9か月かかります。

さらに、電波でも片道数分〜20分ほどかかるため、地球とのリアルタイムの会話はできません。食料や水、空気、放射線への備えなど、課題は山ほどあります。だからこそ、まず月で「地球の外で暮らす練習」をするのがアルテミス計画。月は、火星へ向かうための練習場でもあるのです。

人類は、いつ火星に立つ?

NASAは2030年代の有人火星探査を目標にかかげ、民間企業も巨大ロケットの開発を進めています。日本(JAXA)も、火星の月「フォボス」から砂を持ち帰る探査計画「MMX」を進めています。

いつか人間が火星に立ち、夜空に光る青い星として地球を見上げる日が来るかもしれません。それはもうSFの話ではなく、いまの子どもたちの世代に起こりうる話です。今夜、夜空に赤い星を見つけたら、そこがいま探査車たちの働く現場であり、人類の次の目的地です。

豆知識③

火星にはフォボスダイモスという2つの月があります。どちらも直径20km前後の小さな月で、フォボスは少しずつ火星に近づいており、遠い未来には火星の輪になるかもしれない、と考えられています。

RODEN & SPACE

宇宙を、“遠い話”で終わらせない。

ローデンは、宇宙ミュージアム「ソラミル」の運営や、スペースポート高知への参画、宇宙食開発や「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。

このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからやさしくお届けしていきます。