夜空を見上げると、赤っぽく光る星がひとつ。それが火星です。月への挑戦「アルテミス計画」の、その先の目的地としてニュースでもよく登場します。寒くて空気もうすい星ですが、太陽系の中では地球にいちばん似ているとも言われます。なぜ人類は火星をめざすのか。順番に見ていきましょう。
約1,000枚のバイキング探査機の画像から作られた火星の全体像。上の白い部分は北極の氷、中央下の裂け目は長さ約4,000kmの「マリネリス峡谷」。画像:NASA/JPL/USGS
火星って、どんな星?
火星は、地球のひとつ外側を回る惑星です。大きさは地球の約半分。1日の長さは24時間37分と地球にそっくりで、季節の変化もあります。いっぽう太陽から遠いぶん1年は約687日(地球のほぼ2年)、平均気温は約マイナス60℃ととても寒く、空気は地球の100分の1以下しかありません。
赤く見えるのは、地面をおおう砂や岩に酸化鉄、つまり「鉄のさび」がふくまれているためです。火星は、星ごと赤くさびているわけです。
豆知識①
火星には太陽系でいちばん高い山があります。その名はオリンポス山。高さは約25kmで、エベレスト(約8.8km)のおよそ3倍。すそ野の広さは日本列島がすっぽり入るほどです。
探査車が見つけた「水のあと」
人類はまだ火星に降り立っていませんが、代わりに探査機やロボットがたくさん送りこまれてきました。1965年に探査機マリナー4号がはじめて火星の素顔を撮影し、1976年にはバイキング1号が着陸に成功。1997年からは車輪で走る探査車(ローバー)の時代が始まりました。
- 1965年
マリナー4号はじめて火星のそばを通過し、クレーターだらけの素顔を撮影。
- 1976年
バイキング1号はじめて火星への着陸に成功。赤い大地の写真を地球へ送りました。
- 1997年〜
ローバー時代ソジャーナを皮切りに、スピリット、オポチュニティ、キュリオシティなどの探査車が地表を走り回って調査。
- 2021年
パーサヴィアランス最新鋭の探査車が着陸。相棒の小型ヘリコプター「インジェニュイティ」は、地球以外の星で史上初の動力飛行に成功しました。
そして探査の最大の成果が、「火星にはかつて、大量の水があった」という発見です。干上がった川や湖の跡、水がないとできない鉱物が次々に見つかりました。いまも極地方には氷があり、地下にも氷がねむっていると考えられています。水があったのなら、生命がいたかもしれない。探査車たちは今日も、その手がかりを探しています。
探査車パーサヴィアランスと、相棒の小型ヘリコプター「インジェニュイティ」(左奥)。2021年、火星で撮影された本物の“自撮り”です。画像:NASA/JPL-Caltech/MSSS
豆知識②
火星の夕焼けは青いって知っていましたか? 空にまう細かい砂の粒が赤い光を散らし、青い光だけがまっすぐ届くため、夕日のまわりだけ青く見えるのです。地球とあべこべですね。
探査車スピリットがとらえた、火星の夕暮れ。沈む夕日のまわりが、ほんのり青く光っています。画像:NASA/JPL/Texas A&M/Cornell
片道半年、火星までの道のり
火星は地球のおとなりとはいえ、近づいたときでも約5,500万km。月(約38万km)の100倍以上も遠い場所です。地球と火星は約2年2か月ごとに接近するので、そのタイミングをねらって出発しても、片道6〜9か月かかります。
さらに、電波でも片道数分〜20分ほどかかるため、地球とのリアルタイムの会話はできません。食料や水、空気、放射線への備えなど、課題は山ほどあります。だからこそ、まず月で「地球の外で暮らす練習」をするのがアルテミス計画。月は、火星へ向かうための練習場でもあるのです。
人類は、いつ火星に立つ?
NASAは2030年代の有人火星探査を目標にかかげ、民間企業も巨大ロケットの開発を進めています。日本(JAXA)も、火星の月「フォボス」から砂を持ち帰る探査計画「MMX」を進めています。
いつか人間が火星に立ち、夜空に光る青い星として地球を見上げる日が来るかもしれません。それはもうSFの話ではなく、いまの子どもたちの世代に起こりうる話です。今夜、夜空に赤い星を見つけたら、そこがいま探査車たちの働く現場であり、人類の次の目的地です。
豆知識③
火星にはフォボスとダイモスという2つの月があります。どちらも直径20km前後の小さな月で、フォボスは少しずつ火星に近づいており、遠い未来には火星の輪になるかもしれない、と考えられています。
RODEN & SPACE
宇宙を、“遠い話”で終わらせない。
ローデンは、宇宙ミュージアム「ソラミル」の運営や、スペースポート高知への参画、宇宙食開発や「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。
このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからやさしくお届けしていきます。

星野館長やあ、ようこそ! 今日は、夜空で赤く光る星、「火星」のお話だよ。地球のおとなりの星なんだ。

ソラくんどうして火星って赤いの? 火が燃えているの?
これがほんものの火星だよ。上の白いところは北極のこおり。まんなかの大きなさけめは、とっても長い谷なんだ。画像:NASA/JPL/USGS
赤いのは「さび」の色
じつはね、火は燃えていないんだ。火星の地面の砂には、鉄の「さび」がまざっていてね、それで星ぜんたいが赤く見えるんだよ。そして火星はとっても寒い星。へいきんでマイナス60度くらいなんだ。れいとうこの中よりずっと寒いね。

キララまめちしき! 火星には、うちゅうでいちばん高い山「オリンポス山」があるんだよ。高さはなんと25km! エベレストの3ばいだよ〜!
ロボットたちが、かわりに探検しているよ
人間はまだ火星に行ったことがないんだ。そのかわり、車りんで走る探査車(ローバー)というロボットたちが、もう何台も火星に行って、しゃしんをとったり、石をしらべたりしてくれているんだよ。小さなヘリコプターが火星の空を飛んだこともあるんだ。
火星ではたらくロボット「パーサヴィアランス」。ひだりおくに、小さなヘリコプターもいるよ。さがしてみてね。画像:NASA/JPL-Caltech/MSSS

ソラくんロボットたちは、火星で何をさがしているの?

星野館長「水のあと」だよ。大むかしの火星には、川や湖があったことがわかったんだ。水があったなら、生きものがいたかもしれない。それをいま、いっしょうけんめいさがしているんだよ。

モグリンええっ、火星に生きものがいたかもしれないモグ!? 会ってみたいモグ〜!
火星は、とおい。でも行きたい!
火星は、いちばん近づいたときでも月の100ばいより遠いんだ。ロケットで行くと、かたみちだけで半年いじょうかかるよ。だからまず月で「うちゅうでくらすれんしゅう」をして、そのつぎに火星へ行こう、と世界中の人ががんばっているんだ。
火星のゆうやけだよ。夕日のまわりが青いんだ。地球とあべこべだね。画像:NASA/JPL/Texas A&M/Cornell

レンくん火星は、ぼうえんきょうがなくても見つけられるよ。夜空で赤っぽく、ちかちかせずに光っている星をさがしてみてね。
きみが大人になるころには
いま、2030年代に人間を火星に送るけいかくが進んでいるんだ。きみが大人になるころ、さいしょに火星に立つ人は、いまどこかで勉強している子どもかもしれないよ。もしかしたら、きみかもしれないね。

星野館長今日のお話はここまで。また探検隊のなかまといっしょに、宇宙のひみつを見にいこうね!
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