「流れ星に願いごとを3回となえると、かなう」。だれもが一度は聞いたことのある言いつたえです。でも、あの夜空をすっと横切る光は、じつは「星」ではありません。正体は、宇宙にただようとても小さなちり。そして、流れ星がたくさん降る「流星群」には、遠くをめぐる彗星がふかく関わっています。順番に見ていきましょう。
国際宇宙ステーションから見おろした流れ星(中央の光の筋)。光っているのは星ではなく、地球の空気とぶつかって燃える小さなちりです。画像:NASA
流れ星は「星」ではない
夜空に見える星は、太陽のように自分で光る「恒星」や、はるか遠くの天体です。でも流れ星は、地球のすぐそば——上空およそ100kmあたりで起きる現象。宇宙をただよう砂つぶほどの小さなちりが、ものすごいスピードで地球の空気に飛びこみ、空気とこすれて高温になってパッと光る。あれが流れ星の正体です。
つまり、光っているのは「星」そのものではなく、ちりが空気を熱して光らせている、ほんの一瞬のかがやきなのです。たいていは1秒もたたずに燃えつきてしまいます。
豆知識①
流れ星のもとになるちりは、多くが砂つぶ〜小石ほどの大きさ。もし燃えつきずに地上まで届くと、それは「隕石(いんせき)」と呼ばれます。空にいるときは流星、地面に落ちたら隕石、と名前が変わるのです。
流星群は、彗星が残した「ちりの帯」
ふだんの流れ星は、いつどこに流れるか分かりません。ところが1年のある時期になると、同じ方角からたくさんの流れ星が降る日があります。これが「流星群」です。なぜ毎年おなじ時期にやってくるのでしょう。
カギは彗星です。彗星は太陽のまわりをめぐりながら、細かいちりを通り道にまき散らしていきます。その「ちりの帯」を、地球が公転しながら毎年おなじ場所で横切る。すると帯の中のちりが一気に地球へ飛びこみ、たくさんの流れ星になる——というわけです。毎年ほぼ同じ日付になるのは、地球が同じ地点を通るからなんですね。
流星群の名前は、流れ星が飛び出してくるように見える点(放射点)が、どの星座にあるかで決まります。「ペルセウス座流星群」なら、ペルセウス座のあたりから放射状に流れて見える、というわけです。
豆知識②
12月の「ふたご座流星群」だけは、母天体が彗星ではなく「ファエトン」という小惑星だと考えられています。彗星以外がもとになる、めずらしいタイプの流星群です。
覚えておきたい「三大流星群」
数ある流星群のなかでも、毎年とくにたくさん流れて見やすいのが、次の3つ。「三大流星群」と呼ばれています。
- 1月4日
ごろしぶんぎ座流星群。年明けすぐの寒い時期。当たり年なら数多く流れますが、ピークが短いのが特ちょうです。
- 8月13日
ごろペルセウス座流星群。夏休みの夜空をいろどる人気の流星群。母天体は「スイフト・タットル彗星」です。
- 12月14日
ごろふたご座流星群。1年でもっとも数が多いといわれる、冬の主役。空気が澄んで見やすい時期です。
このほか、10月の「オリオン座流星群」や5月の「みずがめ座η(エータ)流星群」は、あの有名なハレー彗星がまき散らしたちりが正体です。
そもそも彗星って、何でできているの?
彗星は、よく「汚れた雪だるま」にたとえられます。その正体は、ちりや岩のつぶが混じった氷のかたまり。ふだんは太陽から遠く、冷たく凍ったままですが、太陽に近づくと熱で表面の氷がとけ、ガスやちりがふき出します。これが太陽の光や風におされて長く伸び、あの美しい尾になるのです。
豆知識③
彗星の尾は、進む方向の後ろに引きずられている——と思いがちですが、じつはいつも太陽と反対側に伸びます。太陽から遠ざかるときは、尾を先頭にして進むことさえあるのです。
太陽をめぐる彗星(左)が、通り道にちりをまき散らします。地球(右)がそのちりの帯を横切るとき、流星群が見られます。※イメージイラスト
ハレー彗星と、次の「2061年」
彗星のなかでもっとも有名なのが「ハレー彗星」。およそ76年に一度だけ地球に近づく、人の一生に一度会えるかどうかの彗星です。前回やってきたのは1986年。計算では、次に見られるのは2061年ごろとされています。
いまの子どもたちが大人になるころ、夜空に長い尾を引くハレー彗星が帰ってくる——。そして毎年10月、私たちはそのハレー彗星が残したちり(オリオン座流星群)を、流れ星として見ているのです。遠い宇宙の物語が、夜空でそっとつながっています。
望遠鏡は、いりません
うれしいことに、流星群を楽しむのに特別な道具はいりません。望遠鏡や双眼鏡はむしろ視野がせまくなり、広い空をいちどに見わたせる肉眼がいちばん。コツは次の3つです。
- くらい場所で街あかりの少ない、空が広く開けた場所をえらびましょう。明るい街なかでは見えにくくなります。
- 目をならす外に出てすぐは見えにくいもの。15分ほどかけて目を暗さにならすと、かすかな流れ星も見えてきます。
- 空ぜんたいを一点を見つめず、なるべく広く空をながめます。寝ころんで見ると首も楽。夜は冷えるので暖かい服装で。
流れ星は、はるか昔に彗星が落としていった宇宙のかけらが、最後にひと筋の光を見せてくれる瞬間です。前回のコラムで、月の水は大昔に彗星が運んできたかもしれない、とお話ししました。夜空を横切るあの光もまた、同じ「宇宙からの贈り物」。次の流星群の夜は、そっと空を見上げてみませんか。
RODEN & SPACE
宇宙を、“遠い話”で終わらせない。
ローデンは、宇宙ミュージアム「ソラミル」の運営や、スペースポート高知への参画、宇宙食開発や「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。
このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからもやさしくお届けしていきます。

星野館長やあ、ようこそ! 今日は、夜空をすーっと流れる「流れ星」のひみつを、みんなで見ていこう。

ソラくん流れ星って、お空のお星さまが落ちてくるの?
うちゅうから見下ろした、ほんものの流れ星だよ(まんなかの光るすじ)。画像:NASA
流れ星は、「星」じゃないんだ
じつはね、流れ星は、お星さまが落ちてくるわけじゃないんだ。宇宙にういている、すなつぶみたいにちっちゃな「ちり」が、すごいスピードで地球の空気にとびこんで、こすれてピカッと光る。それが流れ星のしょうたいなんだよ。

キララまめちしき! もえずに地面まで落ちてきたら、それは「いんせき」ってよばれるんだよ。おなじものでも、なまえが変わるの。ふしぎでしょ?
「流星群」は、ほうき星のおとしもの
1年のある時期になると、流れ星がたーくさん流れる夜があるんだ。それを「流星群」っていうよ。これはね、「ほうき星(彗星)」が通り道にこぼした、たくさんの「ちり」のなかを、地球が通るからなんだ。

レンくん地球はまい年おなじ道をぐるーっと回ってるから、おなじ時期にちりのなかを通るんだ。だから流星群は、まい年おなじころに見られるんだよ。
とくにたくさん流れるのが、夏の「ペルセウス座流星群」(8月ごろ)と、冬の「ふたご座流星群」(12月ごろ)だよ。おうちの人と、カレンダーにしるしをつけておこう。

モグリンほうき星って、ちり混じりの氷のかたまりモグ。おひさまに近づくと、氷がとけて、ながいしっぽが見えるモグ〜!
見るのに、望遠鏡はいらないよ
流星群を見るのに、むずかしい道具はいらないんだ。望遠鏡よりも、じぶんの目で広いお空を見るのがいちばん。くらい場所で、目がなれるまで15分くらいまって、ねころんでお空ぜんたいをながめてみよう。夜はさむいから、あったかいかっこうでね。

ソラくんねころんで見ていいんだ! こんど、おうちの人といっしょに見てみる!

星野館長うん、たのしみだね。流れ星は、むかしほうき星がおとしていった宇宙のかけら。また探検隊のなかまと、宇宙のひみつを見にいこうね!
SPACE & FUN
宇宙を、もっと身近(みぢか)に。
宇宙ミュージアムや「宇宙縁日(うちゅうえんにち)」などのイベントで、宇宙のワクワクをみんなに届けています。このコラムに出てくるキャラクターたちも、ぜんぶオリジナルの企画なんだよ。