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Column ・ 宇宙のはなし

月は、なぜいつも同じ顔なの?
──満ち欠けのしくみと、「月の裏側」のはなし

今夜の月にも、子どものころに見上げた月にも、同じうさぎの模様。月はどうして、ずっと同じ面だけを地球に向けているのでしょう。そして誰も見たことがなかった「裏側」には、何があったのでしょう。

宇宙のはなし2026.08.18読了 約6分
📖 読み方を選べます。お子さまには こども版(ふりがな) がおすすめです。

夜空の月には、いつも見おぼえのある模様があります。うさぎが餅をついているように見える、あの黒い影。昨日も、去年も、百年前の人が見上げた月も、模様の向きはほとんど同じでした。じつは月は、地球にずっと同じ面だけを向けて回っているのです。では、その向こう側——「月の裏側」には、いったい何があるのでしょう。

クレーターに覆われた月の裏側の地平線と、その向こうに小さく浮かぶ地球
月の裏側の上空から見た光景。地平線のむこうに、青い地球が小さくのぞいています。手前いっぱいに広がるこの荒れた大地こそ、地球からは決して見えない「月の裏側」です。画像:NASA

月は、同じ顔しか見せてくれない

「月がいつも同じ模様なのは、月が回っていないから」。そう思われがちですが、これは間違いです。月はきちんと自分でも回転(自転)しています。ただし、その自転の速さが、地球のまわりを一周する速さとぴったり同じなのです。どちらも約27.3日。だから月は、地球を一周するあいだにちょうど一回転し、結果としていつも同じ面をこちらに向け続けます。

イメージしにくければ、友だちのまわりをぐるりと歩いてみてください。相手の顔をずっと見つめたまま一周すると、あなた自身も知らないうちに一回転しているはずです。月がやっているのは、まさにこれと同じことです。

豆知識①

この「一周と一回転がぴったり一致する」現象を、潮汐(ちょうせき)ロックといいます。地球の引力が月をわずかに引き伸ばし、そのふくらみが長い時間をかけてブレーキのように働いた結果、月の自転は今の速さで落ち着きました。火星や木星の衛星など、太陽系にはこうしてロックされた星がたくさんあります。

月の表側に立って地球をながめたら、地球は空のほぼ同じ場所に浮かんだまま、ほとんど動きません。月がいつも同じ面を向けているということは、そういうことでもあります。※イメージ映像

「月の裏側」は、暗い側ではない

英語で月の裏側を「ダークサイド」と呼ぶことがあるため、ずっと暗い場所だと思われがちです。でもこれは誤解です。裏側にも、表側とまったく同じように昼と夜が訪れます。正しくは「暗い側」ではなく「地球から見えない側」むしろ地球の明かりが届かないぶん、夜は表側より深い闇に沈みます。

人類は長いあいだ、この面を一度も見たことがありませんでした。初めてその姿がとらえられたのは1959年月の裏側へ回り込んだ探査機が写真を送ってきたときのこと。そして届いた画像は、科学者たちを驚かせます。表側とは、まるで顔つきが違っていたのです。

無数のクレーターに覆われた月の裏側
月の裏側。表側にあるような大きな黒い「海」がほとんどなく、見わたすかぎりクレーターに覆われています。画像:NASA
豆知識②

月の表側にある黒い模様は「海」と呼ばれますが、水はありません。大昔に地下から噴き出した溶岩が広がって固まった、平らな溶岩の平原です。裏側にこの「海」がほとんどないのは、裏側の地殻のほうが分厚いため、溶岩が地表まで届きにくかったから、と考えられています。だから裏側は、昔ぶつかった隕石の跡がそのまま残った“クレーターだらけの顔”をしているのです。

満ち欠けは、光の当たり方と見る角度

月は自分では光っていません。太陽の光を反射しているだけです。そして月は、いつでも太陽に照らされた側が半分、影の側が半分。その球体を、地球から少しずつ違う角度でながめるために、三日月に見えたり、半月に見えたり、満月に見えたりする——それが満ち欠けの正体です。

おもしろいのは、その周期です。月が地球を一周するのは約27.3日なのに、新月から次の新月までは約29.5日2日ほど長いのは、そのあいだに地球も太陽のまわりを進んでしまうため。月は同じ見え方に戻るまで、そのぶん少し余分に回り込む必要があるのです。

星空に浮かぶ、欠けた月。光っているのは太陽に照らされた側だけで、残りは影に沈んでいます。※イメージ映像
  • 新月太陽と同じ方向にあり、光っている面が地球に向きません。肉眼ではほぼ見えない状態です。
  • 三日月新月から数日後。夕方の西の低い空に、細くやさしい弧が見えます。
  • 上弦の月約7日後。ちょうど半分が光り、夕方から真夜中にかけて空にいます。
  • 満月約15日後。太陽と反対側に来て、まるい面のすべてが照らされます。
  • 下弦の月約22日後。再び半分に。真夜中から明け方の空で見つけられます。
宇宙空間に浮かぶ、右側が欠けた月
宇宙から見た、欠けた月。地上から見上げるのと同じように、光と影の境目がくっきりと現れます。画像:NASA
豆知識③

秋のお月見でおなじみの「中秋の名月」は、2026年は9月25日(金)じつは中秋の名月は満月とは限らず、2026年の満月は2日後の9月27日です。旧暦の日づけと、実際の月の満ち欠けのタイミングが少しずれるために起こる現象で、2日もずれるのは少し珍しいこと。今年は、「名月」と「満月」を二度楽しめる年です。

月は、少しずつ遠ざかっている

最後に、もうひとつ。月は今も、1年におよそ3.8cmずつ地球から離れ続けています。原因は、潮の満ち引きを起こしているのと同じ引力のやりとり。地球の自転のエネルギーが少しずつ月へ渡され、月はその分だけ外側の軌道へ押し出されていきます。

裏を返せば、大昔の月は今よりずっと近く、空に大きく見えていたということ。恐竜が見上げた月は、私たちが見ている月より、ほんの少し大きかったはずです。今夜の月も、この長い旅の途中にある一瞬の姿。そう思うと、いつもの月がすこし違って見えてきませんか。

ちなみに、その月面には、スマホひとつで降り立つ体験ができます。ローデンの月面歩行ARは、VRゴーグルも専用機器もアプリも使わず、ブラウザでカメラをかざすだけ。目の前にクレーターの大地が広がり、歩けば足あとが残ります。見上げるだけだった月を、今度は足もとから。

RODEN & SPACE

宇宙を、“遠い話”で終わらせない。

ローデンは、宇宙ミュージアム「ソラミル」の運営や、スペースポート高知への参画、スマホで月面を歩く月面歩行AR宇宙食開発や「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。

このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからやさしくお届けしていきます。