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Column ・ 社会を耕すコラム

年30回の打上げ時代へ。
スペースポート紀伊の「地上」で、いま準備できること

国は2030年代前半に、国内の打上げを年30回程度に増やす目標を掲げています。その拠点の一つが、和歌山県串本町・那智勝浦町のスペースポート紀伊。打上げの価値はどこで生まれ、南紀の事業者は今から何を準備できるのかを整理します。

宇宙と地域のはなし2026.11.03読了 約6分
スペースポート紀伊から打ち上げられたカイロスロケット3号機。青空に白い噴煙の軌跡を残して上昇している
スペースポート紀伊から打ち上げられたカイロスロケット3号機

国は、2030年代前半までに国内のロケット打上げ能力を年間30回程度に増やす目標を掲げています。その拠点の一つが、和歌山県串本町・那智勝浦町にあるスペースポート紀伊です。

2025年の国内からの打上げは3回でした。年30回は、今の10倍の規模です。打上げが増えれば、射場の周りには見学・宿泊・飲食・買い物の需要が生まれます。このコラムでは、国の計画を整理し、南紀の地上で今から準備できることを考えます。

国の計画:4拠点で年30回をめざす

経済産業省は2027年度の予算で、国内の発射拠点の発射台や関連施設を増やすための費用を要求しました(日本経済新聞、2026年10月18日)。対象は次の4拠点です。

拠点所在地
スペースポート紀伊和歌山県串本町・那智勝浦町
北海道スペースポート北海道大樹町
内之浦宇宙空間観測所(JAXA)鹿児島県肝付町
種子島宇宙センター(JAXA)鹿児島県南種子町

具体的な金額や内容は、年末にかけて財務省と調整されます。まだ「要求」の段階で、施設が増えるのは2027年度以降です。

スペースポート紀伊は、国内初の民間ロケット発射場です。政府の「ロケット・射場 戦略産業クラスター計画(近畿地域)」でも、第2射点の整備と周辺道路の整備が計画に入っています。

カイロスロケット3号機が青空へ上昇し、山並みの上に長い噴煙の軌跡を残している
カイロスロケット3号機の打上げ。串本の山並みの上に、噴煙の軌跡が長く残った

将来性:経済波及効果の試算から見る

三菱UFJリサーチ&コンサルティングは2024年12月、スペースポート紀伊の打上げによる経済波及効果の試算を公表しました。主な数字は次のとおりです。

項目試算
打上げ1回あたりの経済波及効果(和歌山県内)約12億円
打上げ1回あたりの見学者数約5,000人
打上げが4日延期された場合の上積み約2億円
2033年に年30回が実現した場合の10年間の効果(日本全体)最大約3,768億円
うち県内 約1,590億円

12億円の内訳には、射場運営などの宇宙産業だけでなく、見学者の宿泊、飲食・小売の消費、宇宙関連イベントが含まれます。打上げの価値の一部は、射場の外の「地上」で生まれています。延期もマイナスだけではなく、滞在が延びれば地域の消費が増えるとされています。

一方でレポートは課題も挙げています。今の打上げは、交通渋滞対策やイベント運営を県と町が人と費用を出して支えることで成り立っています。そのうえで、打上げの感動を経済価値につなげる取り組みが必要だとしています。

なお、年30回は試算の前提で、確定した計画ではありません。当面は、1年の大半が打上げのない日という前提で備える必要があります。

串本での1年半から、地上の事業者が始められること

ローデンは2025年4月から、串本町の宇宙ミュージアム「宇宙ふれあいホール ソラミル」で企画と運用を担ってきました。大事にしてきたのは、来場者に楽しんでいただくこと、串本町に来た思い出を持ち帰っていただくこと、そして運営をなめらかにして、スタッフがお客さまと向き合う時間を増やすことです。その中で、打上げが増える前に地上で準備しておくと効くと感じていることを4つ挙げます。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポートが課題として挙げる「打上げの感動を経済価値につなげる」ことは、一つの会社でできることではありません。宿泊、飲食、小売、交通、自治体が同じ方向を向いて、初めて形になります。ローデンの取り組みは、その一部を先に試している段階です。結果は、地域の皆さんと共有していきます。

まとめ

年30回の打上げ時代は、今日明日に来るものではありません。だからこそ、施設が増える前の今のうちに、小さく試して結果を確かめておくことが、後の大きな差になります。

南紀で宿泊施設や土産店、観光施設を運営していて、「宇宙をどう生かせばいいか分からない」「海外のお客さまへの案内に困っている」という方は、お気軽にご相談ください。課題を整理するところから、一緒に考えます。

宇宙や打上げを生かした体験・売場・多言語の案内について、串本で試してきたことをお話しできます。確認だけでもお気軽にどうぞ。

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