HOME/コラム/地球の大気と宇宙のさかい目
Column ・ 宇宙のはなし

空の「上」は、どこからが宇宙?
──青い空と、宇宙の「さかい目」のはなし

見上げれば青い空、その先は真っ暗な宇宙。いったい、どこまでが「空」で、どこからが「宇宙」なのでしょう。足もとから続く空の物語を、宇宙にくわしくない人にもやさしく。

宇宙のはなし2026.08.05読了 約5分
📖 読み方を選べます。お子さまには こども版(ふりがな) がおすすめです。

よく晴れた日に空を見上げると、どこまでも青が広がっています。でも夜になれば、その同じ空に真っ暗な宇宙と星がのぞく。では、どこまでが「空」で、どこからが「宇宙」なのでしょう。じつは空と宇宙のあいだには、目には見えない“さかい目”があります。足もとから、順番に上へのぼっていきましょう。

宇宙から見た、地球をふちどる青い大気の層
宇宙から見た地球のふち。青くかがやく薄い層が、私たちが暮らす空気(大気)です。この青のすぐ外側は、もう真っ暗な宇宙。画像:NASA

そもそも、空はどうして青いの?

太陽の光は白く見えますが、本当は赤・青・むらさきなど、いろいろな色が混ざっています。その光が空気の中の小さなつぶにぶつかると、青い光ほど四方に散らばりやすいという性質があります。空いっぱいに散らばった青い光が目に届くから、昼間の空は青く見えるのです。

夕方に空が赤くなるのも、同じ理由の裏返しです。夕日は光が空気の中を長い距離通ってくるため、青い光は途中で散ってしまい、残った赤い光だけがまっすぐ届くだから朝焼け・夕焼けは赤いのです。空の色は、空気があるからこそ生まれています。

豆知識①

では、宇宙はなぜ真っ暗なのでしょう。答えは「散らばる相手の空気がほとんどないから」。光をばらまく空気がなければ、太陽が出ていても空は青くならず、真昼でも空は真っ黒月の空が昼でも暗いのも、これが理由です。

空気は、意外なほど「うすい」

私たちは分厚い空気に包まれている気がしますが、じつは大気はとても薄い層です。呼吸に使う空気のほとんどは、地上からわずか十数kmほどに集まっています。ジェット機が飛ぶ高さ(約10km)まで上がると、もう空気は地上の4分の1以下。のぼるほど空気は急激にうすくなっていきます。

上の写真で地球をふちどる青い層が、驚くほど薄く見えたはずです。あの1枚が、空気のうすさをそのまま物語っています。青い空は、地球をやさしく包むとても薄いベールなのです。

空から宇宙へ、のぼってみよう

高さごとに空のようすは大きく変わります。下から順に、宇宙までの“はしご”をのぼってみましょう。

  • 〜約10km
    対流圏
    雲ができ、雨や風など天気が起きる層。ジェット機が飛ぶのもこのあたりの上のほうです。
  • 約10〜50km
    成層圏
    空気が澄んで安定した層。有害な紫外線を防ぐ「オゾン層」があり、観測用の大きな気球はこのあたりまで上がります。
  • 約50〜80km
    中間圏
    とても冷たい層。宇宙から飛びこんだちりが空気とこすれて燃える、流れ星が光る高さです。
  • 約100km
    カーマンライン
    空気があまりに薄くなり、飛行機の翼では飛べなくなる高さ。ここが「宇宙のさかい目」とされています。
  • 約400km
    ISSの高さ
    カーマンラインの、さらにずっと上。国際宇宙ステーションはこの高さを、宇宙飛行士を乗せて回り続けています。
豆知識②

「カーマンライン」は、この高さを計算で示したハンガリー出身の科学者テオドール・フォン・カルマンの名にちなみます。国際的には高さ約100kmを宇宙のさかい目とすることが多く、アメリカでは約80kmを基準にする場合もあります。じつは「ここから宇宙」という線は、人が決めた約束ごとなのです。

宇宙ステーションから見た、天の川と地球の大気の光
さかい目のずっと上、宇宙から見た夜の地球。地平線にうっすら光るのが大気、その外側に天の川が広がります。画像:NASA

さかい目を越えるのは、簡単じゃない

たった100kmと聞くと近く感じますが、まっすぐ上へ100km進むのは大変です。空気がうすいと飛行機の翼は浮かず、プロペラも回せません。だから宇宙をめざすには、空気のない場所でも自分の力で進めるロケットが必要になります。ロケットは、まさにこの「さかい目」を越えるための乗り物なのです。

さらにその上で地球を回り続けるには、猛烈なスピードも欠かせません。ISSは高さ約400kmを、時速およそ2万8千km——90分で地球を一周する速さで飛んでいます。「宇宙に行く」とは、高く上がるだけでなく、速く回ることでもあるのです。

豆知識③

地球をリンゴの大きさにたとえると、私たちが呼吸している空気の層は、なんとリンゴの皮より薄いくらい。あの青い空は、地球にとってとても薄くて、とても大切な一枚のベールなのです。

暗い宇宙に浮かぶ、青い大気をまとった地球
真っ暗な宇宙に浮かぶ地球。青くにじむ空気の層のすぐ外側から、もう「宇宙」が始まっています。画像:NASA

今日の空は、宇宙の入り口

空と宇宙は、どこかでパチンと切り替わるわけではありません。青い空はのぼるほど少しずつうすくなり、やがて音もなく宇宙へ溶けていきます。私たちが毎日見上げているあの空は、じつは宇宙のいちばん手前の入り口次に空を見上げるときは、その「上」に続く宇宙まで、そっと想像してみてください。

RODEN & SPACE

宇宙を、“遠い話”で終わらせない。

ローデンは、宇宙ミュージアム「ソラミル」の運営や、スペースポート高知への参画、宇宙食開発や「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。

このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからやさしくお届けしていきます。