よく晴れた日に空を見上げると、どこまでも青が広がっています。でも夜になれば、その同じ空に真っ暗な宇宙と星がのぞく。では、どこまでが「空」で、どこからが「宇宙」なのでしょう。じつは空と宇宙のあいだには、目には見えない“さかい目”があります。足もとから、順番に上へのぼっていきましょう。
宇宙から見た地球のふち。青くかがやく薄い層が、私たちが暮らす空気(大気)です。この青のすぐ外側は、もう真っ暗な宇宙。画像:NASA
そもそも、空はどうして青いの?
太陽の光は白く見えますが、本当は赤・青・むらさきなど、いろいろな色が混ざっています。その光が空気の中の小さなつぶにぶつかると、青い光ほど四方に散らばりやすいという性質があります。空いっぱいに散らばった青い光が目に届くから、昼間の空は青く見えるのです。
夕方に空が赤くなるのも、同じ理由の裏返しです。夕日は光が空気の中を長い距離通ってくるため、青い光は途中で散ってしまい、残った赤い光だけがまっすぐ届く。だから朝焼け・夕焼けは赤いのです。空の色は、空気があるからこそ生まれています。
豆知識①
では、宇宙はなぜ真っ暗なのでしょう。答えは「散らばる相手の空気がほとんどないから」。光をばらまく空気がなければ、太陽が出ていても空は青くならず、真昼でも空は真っ黒。月の空が昼でも暗いのも、これが理由です。
空気は、意外なほど「うすい」
私たちは分厚い空気に包まれている気がしますが、じつは大気はとても薄い層です。呼吸に使う空気のほとんどは、地上からわずか十数kmほどに集まっています。ジェット機が飛ぶ高さ(約10km)まで上がると、もう空気は地上の4分の1以下。のぼるほど空気は急激にうすくなっていきます。
上の写真で地球をふちどる青い層が、驚くほど薄く見えたはずです。あの1枚が、空気のうすさをそのまま物語っています。青い空は、地球をやさしく包むとても薄いベールなのです。
空から宇宙へ、のぼってみよう
高さごとに空のようすは大きく変わります。下から順に、宇宙までの“はしご”をのぼってみましょう。
- 〜約10km
対流圏雲ができ、雨や風など天気が起きる層。ジェット機が飛ぶのもこのあたりの上のほうです。
- 約10〜50km
成層圏空気が澄んで安定した層。有害な紫外線を防ぐ「オゾン層」があり、観測用の大きな気球はこのあたりまで上がります。
- 約50〜80km
中間圏とても冷たい層。宇宙から飛びこんだちりが空気とこすれて燃える、流れ星が光る高さです。
- 約100km
カーマンライン空気があまりに薄くなり、飛行機の翼では飛べなくなる高さ。ここが「宇宙のさかい目」とされています。
- 約400km
ISSの高さカーマンラインの、さらにずっと上。国際宇宙ステーションはこの高さを、宇宙飛行士を乗せて回り続けています。
豆知識②
「カーマンライン」は、この高さを計算で示したハンガリー出身の科学者テオドール・フォン・カルマンの名にちなみます。国際的には高さ約100kmを宇宙のさかい目とすることが多く、アメリカでは約80kmを基準にする場合もあります。じつは「ここから宇宙」という線は、人が決めた約束ごとなのです。
さかい目のずっと上、宇宙から見た夜の地球。地平線にうっすら光るのが大気、その外側に天の川が広がります。画像:NASA
さかい目を越えるのは、簡単じゃない
たった100kmと聞くと近く感じますが、まっすぐ上へ100km進むのは大変です。空気がうすいと飛行機の翼は浮かず、プロペラも回せません。だから宇宙をめざすには、空気のない場所でも自分の力で進めるロケットが必要になります。ロケットは、まさにこの「さかい目」を越えるための乗り物なのです。
さらにその上で地球を回り続けるには、猛烈なスピードも欠かせません。ISSは高さ約400kmを、時速およそ2万8千km——90分で地球を一周する速さで飛んでいます。「宇宙に行く」とは、高く上がるだけでなく、速く回ることでもあるのです。
豆知識③
地球をリンゴの大きさにたとえると、私たちが呼吸している空気の層は、なんとリンゴの皮より薄いくらい。あの青い空は、地球にとってとても薄くて、とても大切な一枚のベールなのです。
真っ暗な宇宙に浮かぶ地球。青くにじむ空気の層のすぐ外側から、もう「宇宙」が始まっています。画像:NASA
今日の空は、宇宙の入り口
空と宇宙は、どこかでパチンと切り替わるわけではありません。青い空はのぼるほど少しずつうすくなり、やがて音もなく宇宙へ溶けていきます。私たちが毎日見上げているあの空は、じつは宇宙のいちばん手前の入り口。次に空を見上げるときは、その「上」に続く宇宙まで、そっと想像してみてください。
RODEN & SPACE
宇宙を、“遠い話”で終わらせない。
ローデンは、宇宙ミュージアム「ソラミル」の運営や、スペースポート高知への参画、宇宙食開発や「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。
このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからやさしくお届けしていきます。

星野館長やあ、ようこそ! 今日は「空のうえは、どこからが宇宙なの?」という、ふしぎなお話だよ。

ソラくんえっと……空をずーっとのぼっていくと、いつのまにか宇宙になるの?
宇宙から見た地球だよ。青くひかる薄いところが、みんながすっている空気なんだ。そのすぐそとは、もう宇宙だよ。画像:NASA
空が青いのは、空気があるから
おひさまの光には、じつはいろんな色がまざっているんだ。その中で青い光は、空気のつぶにぶつかると、あちこちにパーッと散らばるんだよ。その青い光が空いっぱいに広がるから、ひるまの空は青く見えるんだ。

キララまめちしき! 宇宙が真っ暗なのはね、光を散らばらせる空気がないからなんだよ。おひさまが出ていても、空は黒いままなの。

ソラくんええっ、宇宙ではひるまでも空が真っ暗なんだ!?
空気は、びっくりするほどうすい
じつはね、みんながすっている空気は、地面のちかくにうすーくあるだけなんだ。上にのぼるほど空気はどんどんうすくなって、やがてなくなってしまう。さっきの写真の青いところ、とっても薄かったでしょ。あれが地球ぜんぶの空気なんだよ。

モグリンあんなにうすいのに、みんなをまもってくれてるモグ!? 地球の空気って、だいじにしなきゃモグね〜。
空から宇宙へ、のぼってみよう
それじゃあ、下から順番に、宇宙までのぼってみよう。
- 10kmくらい雲ができて、あめや風がおきるところ。ひこうきが飛ぶのもこのへんだよ。
- 50kmくらい空気がすんでいるところ。おおきな気球はこのあたりまでのぼれるよ。
- 80kmくらいとっても冷たいところ。流れ星がピカッと光る高さなんだ。
- 100km「カーマンライン」。ここからが宇宙、とされる大切なさかい目だよ。
- 400km宇宙ステーション(ISS)が飛んでいる高さ。さかい目のずっと上だね。

星野館長だいたい高さ100kmのところに、「ここからが宇宙」というやくそくのさかい目があるんだ。ここをこえた人が「宇宙飛行士」とよばれるんだよ。
さかい目のずっと上、宇宙から見た夜の地球。おくにひろがるのは天の川だよ。画像:NASA
宇宙へは、ロケットで行く
空気がうすいところでは、ひこうきのつばさはうかべないんだ。だから宇宙へ行くには、空気がなくても自分の力ですすめる「ロケット」が必要なんだよ。ロケットは、この「さかい目」をこえるための、とくべつな乗りものなんだ。

レンくん今夜、空を見上げてみて。あの星ぞらのすぐ手前まで、空気のうすいベールがつづいているんだよ。
真っ暗な宇宙にうかぶ地球。青いところのすぐそとから、もう宇宙がはじまっているんだね。画像:NASA
きみが見上げる空は、宇宙の入り口
空と宇宙は、どこかでパチンときりかわるんじゃなくて、青い空がだんだんうすくなって、そっと宇宙につながっているんだ。きみが毎日見上げているあの空は、宇宙のいちばん手前の「入り口」なんだよ。

星野館長今日のお話はここまで。また探検隊のなかまといっしょに、宇宙のひみつを見にいこうね!
SPACE & FUN
宇宙を、もっと身近(みぢか)に。
宇宙ミュージアムや「宇宙縁日(うちゅうえんにち)」などのイベントで、宇宙のワクワクをみんなに届けています。このコラムに出てくるキャラクターたちも、ぜんぶオリジナルの企画なんだよ。