10月8日は二十四節気の「寒露」。朝晩の空気がひんやりして、夕暮れの早さに気づく季節です。東京の日の入りは、10月1日の17時26分から、31日には16時47分へ。たった1か月で約40分も早くなります。このコラムの太陽系めぐりは、前回の冥王星で外のはてまで行きました。今回は折り返して、すべての中心にある星——太陽のはなしです。毎日見ているのに、じつはよく知らない星かもしれません。
太陽は、地球109個分のはば
太陽の直径は約139万km。地球の約109倍です。地球を横に109個ならべて、やっと太陽の端から端に届きます。体積でいえば、地球が約130万個入る大きさです。
身近なもので考えてみましょう。地球を1円玉(直径2cm)とすると、太陽は直径約2.2mの大玉。天井に届きそうな球です。そして1円玉の地球は、そこから約235m離れたところを回っています。太陽系は、思っている以上にがらんとした空間なのです。
太陽と8つの惑星を、同じ縮尺でならべたところ。画面の左にあるのは、太陽のほんの一部です。※イメージ図(惑星どうしの距離は縮めています)
重さはさらに桁ちがいで、地球の約33万倍。太陽系にあるすべてのもの——惑星も衛星も小惑星も——の重さを足しても、その99.8%以上を太陽ひとつが占めています。木星のような巨大な惑星でさえ、太陽から見れば“残りの0.2%”のなかの一員です。惑星たちが太陽のまわりを回り続けているのは、この圧倒的な重さに引かれているからです。
豆知識①
太陽も、夜空に光る星と同じ仲間です。自分で光を出す星を「恒星」といい、私たちの天の川銀河には恒星が数千億個あるといわれます。太陽はその中で、大きさも明るさもごく平均的な星。たまたま近くにあるので、昼の空をまぶしく照らしているだけなのです。
目に届くのは、8分20秒前の光
地球から太陽までは、平均で約1億5,000万km。時速900kmの旅客機で休まず飛び続けても約19年、時速100kmの車なら約170年かかる距離です。
光の速さでも、およそ8分20秒。つまり、いま見ている太陽は「8分20秒前の太陽」です。朝、カーテンを開けて浴びる光は、あなたが目覚ましを止めたころに太陽を出発した光、ということになります。
太陽の光を受ける地球。昼と夜は、地球が回りながら太陽の光の当たる側と当たらない側を行き来することで生まれます。※イメージ映像
中をのぞくと、1,600万℃の“炉”
太陽は、燃える岩のかたまりではありません。ほとんどが水素とヘリウムのガスでできた、巨大なガスの球です。その中心部の温度は約1,600万℃。あまりの高温と圧力で水素どうしがくっつき、ヘリウムに変わる「核融合」が起きています。このとき生まれるエネルギーが、太陽の光と熱の正体です。
太陽を4分の1だけ切り取って、中をのぞいたところ。中心でつくられたエネルギーは、放射層・対流層を通って表面へ運ばれます。※イメージ図(各層の厚さは目安です)
中心で生まれた光は、すぐには外に出られません。ぎっしり詰まったガスにぶつかっては向きを変え、行ったり来たりをくり返しながら、ゆっくりと表面をめざします。表面にたどり着くまでにかかる時間は、数万年以上とも考えられています。表面からはたった8分20秒で地球に届くのに、太陽の中を抜けるのに何万年。今日の日ざしは、人類がまだ洞窟で暮らしていたころに生まれたエネルギーかもしれません。
ふしぎなこともあります。私たちが見ている表面(光球)は約5,500℃なのに、その外側に広がるうすい大気「コロナ」は100万℃以上。熱源から離れるほど熱くなる、という逆転現象です。なぜそうなるのかは、いまも研究が続く大きななぞの一つです。
- 直径約139万km(地球の約109倍)
- 重さ地球の約33万倍(太陽系全体の99.8%以上)
- 表面温度約5,500℃。黒点は約4,000℃、中心は約1,600万℃
- 自転赤道付近で約25日、北極・南極付近では30日以上。ガスの球なので、場所によって回る速さがちがいます
- 年齢約46億年。人間でいえば、ちょうど働きざかり
- 距離地球から平均約1億5,000万km。光で約8分20秒
豆知識②
太陽は核融合で光るたびに、重さの一部をエネルギーに変えています。その量は1秒間に約400万トン。それでも太陽はとても重いので、46億年かけて失った重さは、全体のわずか0.03%ほど。太陽はあと約50億年、いまと同じように輝き続けると考えられています。
黒点と、11年のリズム
太陽の表面には、ときどき黒いしみのような「黒点」があらわれます。黒点はまわりより1,500℃ほど温度が低い(約4,000℃)ため、相対的に暗く見える場所。強い磁場が熱の湧き上がりをおさえている部分です。大きいものは地球がすっぽり入るほどになります。
黒点の数は、約11年の周期で増えたり減ったりしています。今の周期は2024年に活動のピーク(極大)を迎え、いまはゆるやかに下り坂。ただ、大きな爆発「フレア」や磁気嵐は極大の1〜3年後にも起きやすく、まだまだ油断はできません。
2024年5月には、太陽で起きた大きな爆発の影響で、北海道をはじめ日本の各地で赤いオーロラが観測されました。太陽の活動は、美しいオーロラを生む一方で、GPSや通信、人工衛星にも影響を与えます。いま世界中で、天気予報のように太陽の様子を見張る「宇宙天気予報」が行われています。
季節で変わる、太陽の通り道
太陽は、毎日同じ道を通っているわけではありません。地球の軸が約23.4度かたむいたまま太陽のまわりを回っているので、季節によって昇る方角と高さが変わります。東京の場合、正午ごろのいちばん高いところ(南中高度)は、夏至で約78度、冬至では約31度。冬の影が長いのは、太陽が低いところを通るからです。
東京で見た、季節ごとの太陽の通り道。10月は1日ごとに少しずつ、低く短い道に変わっていきます。※イメージ図
いまの季節の太陽は、秋分(9月23日)を過ぎて、冬至の道へ向かっている途中です。10月1日に約51度だった南中高度は、31日には約40度へ。1か月で約11度も低くなります。朝日が昇る方角も、真東から少しずつ南へずれていきます。同じ窓から毎朝の日の出を見ていると、その移動がはっきりわかるはずです。部屋の奥まで日ざしが届きはじめたら、それは太陽の道が低くなったしるしです。
豆知識③(大切な注意)
太陽は絶対に直接見ないでください。サングラスや下じき、スマホの画面越しでも目をいためます。観察するなら、木もれ日や、厚紙に開けた小さな穴を通して地面に映す「ピンホール」で、影の形を見るのが安全です。ちなみに日本で次に日食が見られるのは、2030年6月1日(北海道では金環日食)。その次は2035年9月2日、北陸から北関東で皆既日食が見られます。
太陽の一生と、これから
- 約46億年前ガスとちりの雲がちぢんで、太陽が生まれる。残った材料から、地球や惑星たちができました。
- いま水素を燃料に、安定して輝く「働きざかり」。寿命のほぼ半分のところにいます。
- 約10億年後少しずつ明るさが増し、地球は今よりずっと暑くなると考えられています。
- 約50億年後中心の水素を使いきり、大きくふくらんだ赤色巨星に。水星や金星はのみこまれると予想されています。
- そのあと外側のガスを宇宙へ放ち、地球ほどの大きさの白く小さな星「白色矮星」になって、ゆっくり冷えていきます。
気の遠くなるような未来の話ですが、今日も明日も、太陽はいつもの場所から昇ります。次回の太陽系めぐりは、その太陽にいちばん近い惑星「水星」へ。11月の明け方、めずらしく見やすくなる“かくれんぼの星”のはなしです。
秋の夕方、西の空を染める夕日を、少しだけ立ち止まってながめてみてください。それは8分20秒前に出発し、そのずっと前、何万年もかけて太陽の中を旅してきた光です。
RODEN & SPACE
宇宙を、“遠い話”で終わらせない。
ローデンは、宇宙ミュージアム「ソラミル」の運営や、スペースポート高知への参画、スマホで月面を歩く月面歩行AR、宇宙食開発や「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。
このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからやさしくお届けしていきます。

星野館長今日は、太陽系のまんなかにいる星、「太陽」のおはなしだよ。

ソラくん太陽って、星なの? 夜の星とはぜんぜんちがうよ?

星野館長じつは同じなかまなんだ。夜空の星も、近くで見たら太陽みたいにまぶしいんだよ。太陽は、とびきり近くにいる星なんだ。
地球が109個ならぶ大きさ
太陽のはばは、地球を109個ならべたくらい。地球を1円玉にすると、太陽は天井にとどきそうな2mの大玉になるよ。一番大きな惑星の木星でも、太陽の10分の1しかないんだ。
太陽と惑星たちを、おなじものさしでならべたよ。左の大きなオレンジ色が、太陽のほんの一部なんだ。※イメージ図

モグリン地球、ちっちゃ〜い! 点みたいモグ!
光でも8分20秒かかる
太陽までは、およそ1億5000万km。飛行機で休まず飛んでも19年もかかるよ。せかいでいちばん速い光でも、8分20秒。だから、いま見ている太陽は、8分20秒前の太陽なんだ。
太陽の光をあびる地球。光があたっているほうが昼、うらがわが夜だよ。※イメージ映像

キララえ〜っ! 朝あびている光は、8分も前に出発してたんだ!
太陽の中は、1600万度!
太陽は、ほとんどがガスでできた大きな玉。まんなかは1600万度もあって、そこで生まれたエネルギーが、光や熱になって地球までとどいているんだよ。表面は約5500度。黒く見える「黒点」は、まわりより少しひくい温度のところなんだ。
太陽を少しだけ切って、中をのぞいてみたよ。※イメージ図

ピコそんなにもえていたら、いつか消えちゃわない……?

星野館長大丈夫。太陽が生まれたのは46億年前。まだ半分くらいで、あと50億年は光りつづけるといわれているよ。
- はば地球の109倍
- おもさ地球の33万倍
- まんなか1600万度
- ひょうめん5500度
- ねんれい46億才
季節で変わる、太陽の通り道
夏の太陽は空の高いところを、冬の太陽はひくいところを通るよ。10月は、毎日少しずつひくくなっていくんだ。だから、夕方が暗くなるのが早くなるんだね。
夏・春と秋・冬の、太陽の通り道だよ。※イメージ図

レンくんでも太陽は、ぜったいに直接見ちゃダメ! 望遠鏡やサングラスでもダメだよ。木もれ日や影で観察しようね。

ソラくん毎朝、おなじ窓から日の出の場所をしらべてみよう! 少しずつ南へずれていくはずだね。

星野館長いいアイデアだね。つぎの旅は、太陽にいちばん近い惑星、「水星」だよ。おたのしみに!
SPACE & FUN
宇宙を、もっと身近(みぢか)に。
宇宙ミュージアムや「宇宙縁日(うちゅうえんにち)」などのイベントで、宇宙のワクワクをみんなに届けています。このコラムに出てくるキャラクターたちも、ぜんぶオリジナルの企画なんだよ。