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Column ・ 宇宙のはなし

ハレー彗星のかけらが、空に降る夜。
──2026年のオリオン座流星群

流れ星の正体は、小さなちり。10月に降るそれは、76年に一度やってくるハレー彗星が残したものです。今年は月明かりの影響が少なく、極大は10月22日の午前3時ごろ。親子で空を見上げたくなる、旬の夜空のはなしです。

宇宙のはなし2026.10.12読了 約8分
📖 読み方を選べます。お子さまには こども版(ふりがな) がおすすめです。

流れ星は、ほとんどが砂つぶほどの小さなちりです。そして10月のちりは、あのハレー彗星が残していったもの。太陽系めぐりの途中ですが、今回は太陽の回をいったんおいて、いまの季節にぴったりの夜空のはなしをお届けします。今年のオリオン座流星群は、月明かりに邪魔されにくい好条件。ハレー彗星のかけらに会いにいきませんか。

流れ星の親は、ハレー彗星

彗星は、氷とちりでできた「よごれた雪玉」のような天体です。太陽に近づくとあたためられ、ガスやちりをふき出しながら進みます。そのちりは、彗星が通った道に沿って、細い帯のように残り続けます。地球は1年かけて太陽を回るので、毎年ほぼ同じ時期に、その帯のそばを通りぬけます。そのとき、ちりが地球の大気に飛びこんで光るのが流星群です。

ハレー彗星の通り道は、地球の軌道と2か所で近づきます。そのため、ハレー彗星のちりが主役になる流星群は年に2回。5月ごろの「みずがめ座η(エータ)流星群」と、10月ごろのオリオン座流星群です。(流星群と彗星のしくみは流れ星は、「星」じゃない?でも紹介しています)

ハレー彗星の通り道と地球の軌道を真上から見た図。ハレー彗星は約76年かけて太陽を1周し、前回の近づきは1986年、次回は2061年。地球の軌道と近づく2か所に、彗星が残したちりの帯があり、地球は5月にみずがめ座η流星群、10月にオリオン座流星群として通りぬける。イメージ図
太陽を真上から見たところ。点々が、ハレー彗星が通り道に残したちりの帯です。地球は毎年、この帯のそばを2回通ります。※イメージ図(大きさ・距離は実際の縮尺ではありません)
豆知識①

ハレー彗星の名前は、イギリスの天文学者エドモンド・ハレーに由来します。ハレーは、1531年・1607年・1682年に現れた彗星の通り道がそっくりなことに気づき、「これは同じ彗星で、約76年ごとに戻ってくる」と考えて、次は1758年ごろに現れると予言しました。ハレー本人は1742年に亡くなりましたが、1758年のクリスマスの夜、予言どおりに彗星が見つかりました。

前回の地球への接近は1986年、次回は2061年の予定です。彗星そのものに会えるのは、人生で1〜2回あるかどうか。けれど、そのかけらには、毎年会いにいけるのです。

流れ星の速さは、新幹線の約800倍

オリオン座流星群の流れ星は、地球の大気に秒速約66kmで飛びこんできます。東京〜大阪(直線で約400km)を約6秒で走りぬける速さ。新幹線の約800倍、国際宇宙ステーションの約9倍にもなります。光っているのは、高さ約100kmの上空です。

その正体は、大きくても数mm、多くは砂つぶほどの小さなちりです。これほど小さくても、猛スピードで大気にぶつかると、まわりの空気が一瞬で熱せられて光ります。明るい流れ星のなかには、通ったあとに数秒ぼんやりと光の筋(流星痕)を残すものもあります。

流れ星の速さくらべ。新幹線は時速約300km、旅客機は時速約900km、音は秒速約0.34km、国際宇宙ステーションは秒速約7.7km、オリオン座流星群の流れ星は秒速約66km。東京から大阪までを約6秒で走りぬける速さ。イメージ図
身近な乗り物や音と、流れ星の速さをくらべたところ。流れ星は、桁ちがいに速いことがわかります。※イメージ図(棒の長さは速さの平方根で描いています)
豆知識②

なぜ、こんなに速いのでしょう。理由のひとつは、ハレー彗星が地球とは逆向きに太陽のまわりを回っていること。ほとんどの惑星や小惑星が同じ向きに回るなか、ハレー彗星だけは反対まわりです。そのため、ちりと地球は、ほぼ正面衝突のかたちですれちがい、相手の速さがそのまま上乗せされます。

2026年は、月に邪魔されにくい好条件

流れ星の数は、夜空の暗さに大きく左右されます。今年の極大は10月22日(木)の午前3時ごろ。この日の月は月齢11で、午前1時半ごろには沈みます。つまり、いちばん流れ星が多い時間帯に、月明かりがほとんどないのです。

  • 10月2日ごろ活動が始まる。ごくわずかですが、この頃から流れはじめます。
  • 10月21日夜オリオン座が夜10時ごろ東の空から昇る。見ごろの前半戦です。
  • 10月22日1:30月が沈み、空が暗くなる。ここからが本番。
  • 10月22日3時ごろ極大。オリオン座は南の空の高いところにいます。
  • 11月7日ごろ活動がおわる。

条件のよい暗い場所で、1時間に数個〜10数個が目安です。ペルセウス座流星群のような「降るように流れる」夜ではありませんが、そのぶん、1つひとつの流れ星が速くてシャープ。長く待った末に、すっと走る1本に出会えたときの感動は格別です。

オリオン座流星群の見つけ方。左は南の空を見上げた星図で、オリオン座のベテルギウスの左上あたりが放射点。流星は空のどこにでも現れる。右は10月22日未明の時間の流れ。夜10時ごろオリオン座が東から昇り、午前1時半ごろ月が沈み、午前3時ごろが極大。イメージ図
流れ星は、オリオン座のあたり(放射点)から四方八方に飛び出すように見えます。右は、10月22日未明の時間の流れです。※イメージ図

見かたのコツ

流れ星は空のどこにでも現れます。「オリオン座を見つめなくてはいけない」わけではなく、空全体を広く見わたすのがコツです。街灯や月が視界に入らない、開けた方向を選びましょう。放射点から少しはなれた方向のほうが、長く尾を引く流れ星が見つかりやすくなります。

  • 目をならす暗さに目がなれるまで15分。その間、スマホの画面は見ないでおきます。
  • 肉眼で双眼鏡や望遠鏡は使いません。視野がせまくなってしまうため。
  • 寝ころぶレジャーシートやリクライニングチェアで、空を広く。首も疲れません。
  • 粘る数分では見つからないことも。15〜30分は続けてみてください。
  • 防寒10月下旬の深夜〜明け方は冷えこみます。上着・ひざかけ・温かい飲み物を。
豆知識③

懐中電灯は、白い光だと目が暗さからもどってしまいます。赤いセロハンをかぶせたライトなら、暗さになれた目を守りながら手元を照らせます。スマホも、画面を暗くして赤っぽい表示にする機能を使うのがおすすめです。月の満ち欠けのしくみは月は、なぜいつも同じ顔なの?で紹介しています。

今年は、天気がよければ、深夜に家族で毛布にくるまって空を見上げるのにちょうどいい一夜です。夜更かしが難しいときは、21日の夜から22日の朝にかけて、ほんの30分だけ空を見るのでも十分。1986年にハレー彗星が通ってから40年。そのかけらが、今年も空に降ります。

RODEN & SPACE

宇宙を、“遠い話”で終わらせない。

ローデンは、宇宙ミュージアム「ソラミル」の運営や、スペースポート高知への参画、スマホで月面を歩く月面歩行AR、宇宙食開発や「宇宙縁日」などのイベントを通じて、宇宙を身近なワクワクに変える取り組みを進めています。

このコラムでも、宇宙やロケット、そしてミライの話を、これからやさしくお届けしていきます。